【下村博文政策ブログ③】 「不登校・引きこもり対策、学校現場の諸課題への対応」
私が会長を務める教育立国推進協議会で「不登校・引きこもり対策」そして「学校現場の諸課題への対応」が議論されました。教育立国推進協議会は、2019年に私が会長を務める形で立ち上げました。この協議会は、超党派の国会議員170名と民間有識者300名を超えるメンバーで構成され、日本の教育改革を通じて国の立て直しを目指しています。協議会の主な目的は、教育の充実と公正を推進し、すべての子どもたちが教育を受ける機会を平等に享受できる社会を実現することです。
不登校引きこもり対策
今、日本には小中学生を合わせと30万人の不登校や引きこもり児童がいると言われています。日本の若者にとって深刻な社会問題となっています。協議会では、これらの問題に対処するために、地方自治体が民間支援団体と協力して、子どもたちが再び学校に戻る支援を行うプログラムを強化させるといった方法が提案されました。具体的には、すでに民間で実施されている、再登校支援を行うプログラムを、民間主導ではなく、行政主導で行えないかというものです。子供の不登校の原因は「自己肯定感・自己有用感の喪失」と考えられていますが、対子どもの支援だけではなく、親を巻き込む形で再登校を促すプログラムは非常に有効です。
また、海外の事例では、不登校が続くと親が罰則を受けるケースや子どもが留年するケースもあるそうです。これを直ちに日本に導入することはありませんが、「個別最適化教育」「多様化教育」を考えた時、これまでの日本の「画一均一教育」の文脈のままでは、不登校・引きこもりへの有効な改善策を打ち出すことは難しく、子どもにとって何が一番大切なのかということで、親との連携の中で解決策を見つけていく必要があります。
学校現場の諸課題への対応
次に、学校現場も課題です。教育立国推進協議会では現職の先生たちをお招きし、文科省と国会議員がひざを突き合わせて議論しました。現場の先生からは「トイレが汚いのでどれだけ掃除しても意味がない」「備品などを自腹で買っている」「頑張る先生に負担が大きくなっている」「指導要領に限界がある」といった厳しい意見がありました。学校現場では、教員不足と業務過多が長年にわたって問題となっています。協議会では、教員が教育に専念できる環境を整えるため、先ずは教育国債や教育目的税を導入して資金を確保する提案が出されています。
その上で、指導要領の見直しに伴い「業務・時数の引き算」ができないかという意見が国会議員からも出ました。文科省は率直に「行政は業務や事業の追加は得意だが、何かをやめていいと発信するのが苦手」といった話がありました。しかし、これだけ時代が変わる中で、今一度何が必要で何が不要なのか取捨選択しなければ教育現場はパンクしてしまいます。
直ぐにできる解決策として、業務・部活動の外部委託やモンスターペアレント対策としてのスクールロイヤーの導入といった具体的な政策も挙げられましたが、その為には前述した通り「予算の確保」が至上命題です。予算以外でできるモノには、指導要領の見直し時における業務・カリキュラムの引き算が挙げられます。海外では教師のプロフェッショナリズムが高く評価され、教師に自由と権限が多く与えられています。最近の日本では教師不足が深刻な問題となっていますが、給特法の見直しだけでなく、働く現場の改善もなければこうした課題解決は容易ではありません。そして、教師と子どもたちが接する時間を増やすことが何より大切なことです。
教育立国推進協議会は、教育を通じて国の未来を築く責任があると認識しています。不登校や引きこもり問題の解決、学校現場の課題への具体的な対策の実施は、国の教育システム全体の向上に寄与します。これらの取り組みは、日本の子どもたち一人ひとりの未来を形作り、社会全体のウェルビーイングを向上させるための重要なステップです。教育立国というビジョンのもと、さらなる改革と投資を進め、全ての子どもたちが公平な教育機会を享受できる社会を実現することが私の目標です。