【下村博文政策ブログ④】「外国資本による日本の土地取得・不動産購入への規制の必要性と実態調査」

我が国の国土が外国資本によって買い上げられ、静かなる有事となっています。

日本は世界貿易機関(WTO)に加盟し、1994年に「サービスの貿易に関する一般協定」(GATS)に加盟する際、外国資本の呼込みが優先され、米国や中国とは異なり、外国人による土地取得を規制する留保条項を盛り込みませんでした。そのことから、内外差別的な立法を行うことが認められていないという説明がされ、外国資本による日本の土地取得・不動産購入への規制ができないというのが一般的にいわれています。

ただ、2020年、地域的な包括的経済連携協定(略RCEP、ASEAN構成国、日本、中国、韓国、欧州及びNZの計15か国が参加)を締結する際、「日本国における土地取得または賃貸借を禁止し、又は制限することができる」と書かれており、その根拠法は大正14年に制定された「外国人土地法」となっています。ただ、この「外国人土地法」は戦前に制定されたもので、この法律が発動されたことはなく、有名無実化した法律となっており、現状に合わせた形での法改正が必要です。

実際に外国資本による日本の土地取得・不動産購入への規制が現行法で可能か?というと非常に難しいです。日本においては、諸外国に見られるような外国人向けの規制はなく、永住権の有無や日本国籍の有無に関係なく土地・不動産の購入・所有が認められています。ただ、諸外国では特例法などでGATSに抵触しない形で、外国資本の土地取得や不動産購入に何らかの規制や条件を課している場合もあり、日本は外国から見た時に何もないというのが現状です。

日本では2022年9月に重要土地調査法が施行され、防衛上重要な施設の周辺土地や離島などを定め、それらについて国が状況を把握し、利用について規定する法律を作り、内閣府が所管庁として対応しています。ただし、ここで定められたのは、注視区域・特別注視区域の土地及び建物の所有者や賃借人、利用状況などが調査されるものであって、いわゆる一般的な不動産に対する実効性は全くありません。そのため、全国の行楽地や水源地などが今も尚、外国資本によって買い上げられています。また、東京都内では急激な不動産価格の高騰が進んでおり、外国資本の影響も考えられます。

こうした状況は明らかに静かなる有事であり、我が国の安全保障や健全な経済活動を阻害するものとなっています。こうしたこともあり、私はコロナ禍において超党派の勉強会を開催し、非公式ではありますが、この問題に対して強く危機感を持っている議員の方々と定期的に勉強会を開きました。その際にも明らかになりましたが、我が国の不動産がどの程度が外国資本によって所有されているか全く把握されていません。このことは不動産売買の規制ができずとも、実態把握に努めることは強く求めたいと思います。

日本は確かに国際法や国内法に照らし合わせてこれまでは外国資本の土地所有について対応してきましたが、このままでは静かなる有事に対応することができず、気づいた時には遅かったということになりかねません。法改正による外国人資本による土地・不動産購入に対する規制を強化し、それとは別に外国人による土地・不動産の所有状況の実態調査の早期実現を私は求めていきたいと思います。