メディアのあり方に対する強い危機感
私は今、この国のメディアのあり方に、強い危機感を覚えています。問題の発端は、オフレコの場で官邸関係者が個人的な考えとして述べた「核兵器を持つべきだと思っているが、現実的には難しい」という趣旨の発言でした。これは政策決定でも政府方針でもなく、非公式な意見交換の中で語られた一つの問題提起にすぎません。しかし、その前提や文脈は顧みられず、まるで政府が核保有を検討しているかのような見出しが独り歩きしました。多くの国民が不安を覚えたのも無理はありませんが、事実を大きく歪めた報道であったと言わざるを得ません。
本来、オフレコは、報道しないことを前提に、率直な意見交換をする場です。そのルールを無視し、了解もなく一部だけを切り取って報じる行為は、発言者だけでなく、議論の場そのものを壊します。誰もが「どう報じられるか」を恐れて口を閉ざすようになれば、国としての判断力は確実に弱まってしまいます。
さらに深刻なのは、こうした誤った報道を前提に、立憲民主党や共産党などから「更迭すべきだ」という声が上がったことです。事実関係を丁寧に確認する前に、感情的な批判や断罪が先行する風潮は、決して健全な政治とは言えません。日本の安全保障という極めて重いテーマだからこそ、議論を封じるのではなく、正確な事実に基づいた冷静な対話が必要です。


